誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
強引で、一途で、溺愛で
なぜキスされているのだろう。
小春は思考が追いつかない。完全に硬直してしまった。
だが閑は、感情の堰が切れたかのように、怒涛の勢いで、小春の唇をむさぼる。
大きな手で腰を抱き、引き寄せ、もう一方の手で、小春の頬を包み込み、上を向かせる。
何度か唇が重なったが、一度も離れることはなく、閑の舌が、強引に小春の口の中に割り込んでいく。
「んっ、んんっ……」
それはかなり強引で。息を継ぐ暇もなく、一方的だった。
(く、く、苦しい……っ! 息が、できませんっ……!)
小春は精いっぱいこぶしを握って、ドンドンと閑の胸を叩く。
するとようやく小春の異変に気が付いたらしい。閑が唇を外して、そのまま両手で小春の頬を包み込み、顔を覗き込んできた。
「ごめん、苦しかった?」
「くっ……くるしかった、ですっ……」
なぜこんなことになっているのか、わからないまま、小春は肩で大きく息をして、それから涙目で閑を見あげた。