誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「し、閑さんっ!」
「ん?」
「ん、じゃなくて!」
小春はぐーっと閑の裸の胸を押し返しながら、プルプルと首を振る。
「もうっ……そんな元気があるなら、シャワーを浴びてごはんを食べましょう!」
(このまま雰囲気に流されては、人としていけない気がする!)
小春は気合を入れた目で、閑を見あげながら、グイグイと手に力を込める。
だがそんな抵抗など、彼にとっては他愛もないお遊びなのだろう。
「どうしてそんなに抵抗するの?」
小春の体に顔を寄せて、額にチュッとキスを落とした。
「俺は小春をかわいがりたいだけなのに……」
その声はチョコレートのように甘く、胸に迫る。するとどうしても、彼に“かわいがられた”濃密な時間を思いださずにはいられない。
「いやとかじゃなくてっ……あのっ、そのっ、いつ大将が帰って来るか、わからないから……! それでなんですっ!」
小春にとって正式に、恋人と過ごした朝というのは、これが生まれて初めての経験だ。恋人同士、冬の朝の惰眠をむさぼるというのは魅力的なものだと想像はつく。