誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
嬉しそうににっこりと微笑む閑は、慎重な手つきで味噌汁を奥の和室へと運んで行った。小春も炊飯器から茶碗に米をよそって、その後を追う。
「いただきまーす」
閑が元気よく手を合わせて、ちゃぶ台を囲んだ二人の朝食が始まったのだが――。平穏な朝食の時間は、長くは続かなかった。
食事を終えて、ふたりでお茶を飲んでいると、閑から
「年末に、俺も一緒に徳島に行っていいかな」
と、唐突とも思える提案をされた。
「え? どうして、徳島に?」
きょとんとする小春に、閑はまじめに言葉を続ける。
「小春のご両親に、ご挨拶をしようと思って」
「ごっ、ご挨拶!?」
ようやく落ち着き始めていた小春の心臓が、口から飛び出そうになった。
こぼしてはいけないと、持っていた茶碗をちゃぶ台の上に置いて、小春は呼吸を整える。
「あの、それはどういう……」