誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「一緒に住むだろ。ルームシェアじゃくて、同棲だ。だったら挨拶くらいしておかないと」
「それは……そうですね……」
小春はしどろもどろになりながらうなずいた。
確かに閑と恋人同士になったのだから、出て行く必要はなくなったのだ。
思い出にしようと気負わなくてもいい、そんな日々がまた始まると思うと、小春の胸は高鳴る。
「……一緒に住んで、いいんですか?」
不安がないわけではないが、小春はおそるおそる尋ねていた。
「当たり前だろ」
閑は驚いたように目を見開いた後、それからちゃぶ台を回り込むようにして、小春の隣に移動してきた。
「もしかして、出て行くつもりだった?」
「それは……はい」
今さら隠しても仕方ない。小春はこくりとうなずく。
「改めて、謝らせてください。私、本当に……つまらない嫉妬で勝手に腹を立てて、説明しようとしてくれた閑さんの話を、はなから聞こうともしないで……拒絶して、逃げようとして。私、あの、初めての夜からずっと、身勝手だったから、恥ずかしくて。もう、一緒には住めないと思ったんです」