誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 そして小春は、閑を見あげた。

「許してもらえますか? 私にチャンスを、くれますか?」

 閑の明るい色の瞳が、朝日の中できらきらと輝いている。

 ほんの数秒――。
 ふたりの間に、沈黙が流れる。

 形の良い閑の唇が、ゆっくりと開いて――。

「許さない」
「えっ……?」

 一瞬、心臓がきゅっと縮み上がったが。

「これからずーっと、俺の側にいるって言ってくれないと、許さない」

 閑は穏やかに笑って、そのまま小春の唇にキスをした。

 重なる唇から幸せの気持ちが、じわじわと広がって小春を包み込む。

(ああ……私、本当に幸せだ……泣いちゃいそうだよ)

 本当に、あやうく泣きそうになったところで、唇を外した閑が、ゆっくりと顔を覗き込んできた。

「ところで、これのことなんだけど」
「これ……?」


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