誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 半ば夢見心地の小春は、閑のいうこれがなんなのかわからず、首をかしげる。

 見れば閑は、自分が着ているカットソーをつまんでいる。

 意味深だが、わからない。

「あ、それだけだと寒いですか? エアコン入れてるんですけど」

 朝食の準備をしながら、エアコンは入れたのだが、食堂のある一階だ。なかなか部屋が温まりにくい。

(どちらかというと、暑がりな感じだったけど……隙間風のせいかも)

 マンションに比べればどうしても、気密性で戸建は分が悪いのだ。
 小春はエアコンの温度をあげようと立ち上がりかけたのだが、

「待って」

 と、小春の腕を閑がつかみ、引き寄せた。

「きゃっ……!」

 気が付けば小春の体は、すっぽりと閑の腕の中に包み込まれていた。

 横抱きにされるようなかたちではあるが、ぴったりと密着すると、やはり閑の体は暖かかった。

「閑さん、どうしたんですか?」

 ドギマギしながら、小春は上目遣いで閑を見あげる。


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