誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「無防備……?」
小春は閑の言葉を繰り返す。
もしかして虎太郎に対して、もう少し危機感を持てと思われているのだろうか。
(えっ、でも虎太郎お兄ちゃんはお兄ちゃんだし……まぁ、血が繋がってないと言われたらそうだけど……でも、私はそんなの関係ないと思ってるし……向こうだってそうだろうし)
虎太郎に自分を女として見られるかと聞いたら、鼻で笑われるに違いない。
「まぁ、確かに彼は信頼に足る人物かもしれないけれど……それでもなぁ……。誰にでもそんなふうに接していたら、勘違いする人間もいるんじゃないかな」
閑は眉根を寄せ、ブツブツとつぶやいている。
これは自分が頼りないせいなのだろうか。
だがそんな心配は無用だ。
小春はしっかりと閑を見て、首を振る。
「でも、お兄ちゃんのことは別にしても、心配しすぎですよ。私別に、全然モテないし。自分で言うのもなんですけど、どうして閑さんが好きになってくれたのか、わからないくらいです」
そして、えへへと笑って見せた。