誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

【小春ちゃん、ごめんなさい。私、佑二(ゆうじ)さんと別れようと思います】

 佑二というのは、父の名前で――。

 そう、深夜に届いたのは、なんと驚きの離婚宣言だったのだ。



 それから小春は、数時間後、朝食のテーブルに機嫌よく姿を現した閑に、スマホを差し出した。

「朝からごめんなさい、閑さん。それ、私の義理の母からきたメッセージなんですけど、見てもらえますか?」
「ん?」

 スマホを受け取ってメッセージを読んだ閑が、すっと表情を引き締める。

「その後、私からメッセージを送っても、未読のままで」
「そうみたいだね」

 あの後、小春は当然、メッセージを送っている。

【もう決まったことなの?】
【なにがあったの?】
【お父さんはなんて言ってるの?】

 それらすべてに返事がないどころか、既読にすらならない。

 故意に無視されているのか、返事ができない状況なのかもわからない。
 不安ばかりが雪のように積もってゆく。

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