誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 けれど閑の語り口は、あれこれと悩んでいる小春を、いつも励ましてくれる。
 閑の強さが、自分もそうなれるのではないかと思わせてくれるのだ。

(この人を好きになってよかった……間違ったり、失敗してばかりの私だけど、このことだけは、大正解だって、胸を張って言えるわ)

 小春はそんなことを思いながら、ゆっくりと口を開く。

「――ありがとうございます。なんだか勇気が出ました」
【なにが?】

 閑は笑ってそれを否定する。
 こういうところが、また好きだなと、小春の胸はきゅんとする。

「とりあえず今から、美保さんに会いたいって連絡取ってみます。お父さんは無理そうだし……」
【うん】
「じゃあまた、なにかわかったら電話しますね」

 そして小春は電話を切ろうとしたのだが、

【なにもわからなくても電話してよ】

 すかさず閑が甘い声でささやいて、心臓がドキッと跳ねた。

「えっ?」
【だって声聞きたいしね。当然だろ】
「もっ、もっ、もう~~!!!」


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