誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
隙あらば甘いことを言う閑に、小春の心臓は毎回唐突に驚かされている。
「あんまりドキドキさせないでください、健康に悪いから!」
小春の悲鳴に、【でも、俺の正直な気持ちだよ】と閑は楽しそうに笑い、明るい雰囲気のまま、電話を切ったのだった。
「さて……」
朝から元気をもらえた小春は、スマホを手に取った。
美保宛に、徳島に帰ってきたこと、父と話したが相手にしてもらえなかったことを正直に書き、それからシャワーを浴びる。
いろいろ気にはなるが、話をしないことには始まらないのだから、焦っても仕方ない。
「あ~、さっぱりした~」
タオルで濡れた髪をゴシゴシと拭きながらスマホをチェックすると、メッセージが既読になって、なおかつ返事まで届いていた。
「美保さん……」
小春はドキドキしながらメッセージを読む。
【小春ちゃん。連絡無視するような形になっていてごめんなさい。実は昨晩まで、少し寝込んでいたの。今朝はもう大丈夫。今は、友人の家に泊めてもらっています。私も小春ちゃんにはちゃんと話さないといけないと思っていたから、今からでも会いましょう】