誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
するとふたり席に座っていた美保は、ハッとしたように顔をあげて、小春を見て、柔らかい笑顔になった。
いつもは胸のあたりまである髪を後ろでまとめているのだが、ゆったりと下ろしていて、丸首のセーターとひざ下のフレアスカートがよく似合っている。
だが明らかにその頬は痩せていた。
(美保さん、痩せた……?)
そのことに気づいてドキッとしたが、小春も笑顔を作り、それから急いで店の中に入る。
あたたかいカフェオレを注文して受け取り、美保の正面に腰を下ろすと、
「久しぶりね」
と、美保から声を掛けてくれた。
「はい。お久しぶりです」
小春もそう答えて、着ていたコートを脱ぎ、バッグと一緒に足元のカゴに置いた。
「本当にごめんなさいね。メッセージくれてたのに、無視してしまって」
美保は申し訳なさそうに頭を下げる。それを見て小春は慌てて首を振った。