誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「それで私、十日前から発作的に家を飛び出しちゃって、ビジネスホテルに泊まってたんだけど、体調を崩してしまって。たいしたことはなかったんだけど、バツイチの親友の家に居候して、養生してたってわけなの」
「そうだったんですね」

 こみ上げてくる吐き気をなんとか飲み込んで、小春は顔を上げた。

「あの……美保さんは、今後どうするんですか? やっぱり父はやっていけないでしょうか」
「――わからないの」
「わからない?」
「ええ」

 美保は神妙な顔をしてうなずいた。

「ここ一か月の間、誰と会ってるかは言えないけれど、そういう相手じゃないって、きっと本当の事なんだと思う。ちょっと想像つかないけれど、佑二さんがほかに好きな人が出来て、私と別れてその人と付き合いたいと思うなら、私に誰と会っているか尋ねられた時点で、私に別れてくれって、正直に言うと思うの」
「確かに……そうかもしれないですね」


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