誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
山邑リゾートのホテルの一室に戻った小春は、二十畳ほどある広々とした、リビングルームのソファーに身を投げ出すようにして倒れ込んだ。
出かける前はもっと部屋の中を見てみたいなどと思った小春だが、疲れ切っている今は、そんな元気はない。
「はぁ……」
最上級の布張りのソファーは柔らかく、目を閉じると寝てしまいそうになる。
時間は日付が変わるまで、あと一時間程度あるが、疲労はかなり溜まっていた。
「疲れちゃった?」
閑がやってきて、ソファーの背もたれに手を置き、背後から小春の上にのしかかってきた。
「少しだけ……」
小春は笑って体をねじり、仰向けになって彼の体を正面から受け止め、抱きしめた。
体重をかけないようにしてくれているが、さすがに百八十五以上ある閑はどっしりと重い。だがその重みが今は心地いい。このままぴったりとくっついていたい。
すうっと息を吸い込むと、閑から甘くいい匂いがした。きっと彼のつけている香水の匂いだろう。