誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「有休なら全然使ってなかったから、気にしなくていいよ。急ぎの案件もなかったし。先生も仕方ねーなって送り出してくれたよ」
閑はおどけたように肩をすくめて、そして顔を近づけた。
「さて、そこで小春に相談なんだけど」
「相談?」
まさか閑に相談されると思っていなかった小春は、目を丸くする。
「今回の件、成功報酬をもらっていいかな」
「えっ?」
驚いたが、確かに小春は閑に働いてもらったにもかかわらず、びた一文払っていない。
(弁護士に相談するときは確かに相談料もいるし、手付金とか……あるわよね)
大変な努力をして弁護士になっているのだから、その知識にお金を払うのは当然だ。目に見えない技術に対して、支払い感覚がおろそかになっていた自分を反省するしかない。
「そうですよね! すみません、私全然思い至ってなくて!」
小春は慌てて、真面目にうなずいた。
「成功報酬もですけど、手付金とか、こっちに来てもらった交通費とか、普通は私が――んっ……」
なんと、閑に唇をふさがれてしまっていた。
「なっ、なんですか?」