誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「ふふっ、確かに」
小春は笑ってうなずいた。
「じゃあ、行くって返事していいかな?」
「はい。楽しみにしてますね」
閑との生活も、なんだかんだで半年近くになる。
こうやって忙しい合間をぬって、自分との時間を作ってくれる閑には感謝しかない。
小春はワクワクしながら、週末を待つことにしたのだが――。
「な、な、なんなんですか、これ!」
開いた口がふさがらないとは、まさにこういうことを言うのだろう。
お花見パーティーというから、勝手にカジュアルなものを考えていた自分がいけないのだが、いざ閑とタクシーで乗りつけてみれば、そこは超広大な日本家屋のお屋敷で、小春は門の手前で、完全に足が止まってしまったのだった。
「そんなかしこまらなくてもいいって」
「いや、かしこまりますよね……」
一応、水色のワンピースというお出かけモードではあるのだが、あまりにも格が違い過ぎて、おののいてしまう。
これは着物を着て訪問するレベルの家にしか見えない。
「別にお大臣が来てるわけじゃないさ。さ、行こう」