誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「小春ちゃんは、もう夜ごはん食べた?」
「いえ、まだです」
戻ってゆっくり、大将のおでんを食べようと思っていたくらいだ。ふるふると首を振ると、閑がニッといたずらっ子のように微笑む。
「よし、じゃあ三人で飲み会だな」
「三人で、飲み会?」
閑の言葉に、耳を疑った。
なぜ、この状況で『飲もう』ということになるのか。
ひどく疲れているのなら、おでんを食べ、帰って大人しく寝たほうがいいのではと思ったが、
「大将には俺から連絡しておこう」
槇がサッと立ち上がって、胸元からスマホを取り出して電話を始めてしまった。
「えっと、お皿、お皿……割りばしもあるはず……」
給湯室に向かった閑が、ふと肩越しに振り返った。
「小春ちゃん、そこの棚からグラス取ってくれるかな」
「あっ、はい……!」
つい流されるがまま、閑の指示に従ってしまったのだった。