誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
それから三人で、事務所のソファーセットで、ビールを飲み、大将のおでんを食べる会が始まった。
槇の執務室には冷蔵庫が完備しており、ちょっといいビールがぎっしり入っている。ほとんどが贈答品らしい。ビール党の小春は、それを見て素直に喜んでしまった。
「俺さ、酒は断然ビールなんだ」
「あっ、槇先生、私もです。ワインも日本酒も焼酎も飲めなくて……でも、ビールなら美味しく飲めます!」
えへへ、と笑いながら、隣でモグモグとおでんのコンニャクを頬張る閑を見つめる。
「神尾さんもそうですよね。部屋にビールの缶、ずらっと並んでましたもん」
初めて彼の部屋に連れていかれた時は驚いた。あの後、さっそく部屋を掃除しようとしたのだが、閑に『まだ契約前だから!』と断固拒否されたのだ。
「うん、俺も小春ちゃんと一緒だな。飲めないことはないけど、断然、ビール。そして必然的に、部屋に缶がたまるんだよね……なんなんだろう。あいつ……増殖してないかな?」
不思議そうに閑が首をかしげるのを見て、小春は笑ってしまった。