誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

(増殖って、かわいいこと言うんだな……っていうか、神尾さんのお部屋どうなってるんだろう。掃除したのかなぁ……弟さんがたまに来るって言ってたから、弟さんがしたのかな?)

「そういや一緒に住むんだっけか?」

 ふたりの会話を聞いて、テーブルをはさんだ向こうの槇が、思い出したように閑に問いかける。

「ええ。ルームシェアをする予定です」

 大したことではないといわんばかりに、さらっと答える閑だが、それを見て槇はソファーの背もたれに肘を置きながら、いぶかしげに眉をひそめた。

「昭和生まれのおっさんには理解できんよ。男女でルームシェアなんてなぁ……まぁ、双方成人済みだし? そういうことになったとしても、まぁ、そういうもんかと思うだけだけどよ~……」
「そっ、そういうことって……」

 ビックリして、思わず小春は口に出してしまった。

 いや、槇の不安もわからなくもない。一応若い男女なのだから、一緒に住んで、なにか問題があったらと考えて当然だろう。

 だが、閑はそうはならないと思っている。だから小春に、『一緒に住もう』などと言い出したのだ。
 そして小春も、自分がこっそり一方的に彼を思っていても、どうにもならないのだと頭で理解しているので、今はふたりのルームシェアも、少しばかり楽しみにしているくらいだ。

(まぁ、あとはお父さんに、どう説明するかってことくらいだけど……)

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