誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
エリート弁護士は努力家である
なかもと食堂で朝食をとり、小春と少し話をして、私服のまま槇法律事務所に戻った閑は、一直線に応接ソファーに向かい、ドンッと、身を投げ出すようにして横たわった。
時間は朝の八時を少し回ったところだ。真冬の朝はかなり寒いが、事務所の中は暖かい。
「お前、昨晩大丈夫だったの?」
すでに出勤していた、師であり上司でもある槇の問いかけに、閑は、
「大丈夫とはどういう意味でしょうか?」
と、若干ぶっきらぼうに返事をし、クッションを抱きかかえる。
「そのままの意味だけど?」
閑の反発なんのその、槇がみょうにあっけらかんとした表情で返し、軽く肩をすくめる。その表情は明らかに笑いをこらえていて、閑は思わず反発するように口を開いていた。
「こっ……小春……さんとの……同居話は継続ですよ。っていうか、来週から始めますからね!」
「来週?」
なぜそんなことになったのだろうと、槇が目を丸くする。
「えっと……ボスが中本さんと話してたことから推測して……暇なら来週にでも、家に来てほしいと……俺が」
あの時は必死だったが、おそらく強引だったに違いない。