誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
甘々同居生活の始まり
「今日も、本当に散らかってる……!」
謙遜でもなんでもなく、閑が住む高級マンションのリビングルームは、相変わらず散らかっていた。
生ごみがないだけましだと思うが、整理整頓が苦手と言うのは本当らしい。
脱ぎ散らかした高そうな洋服や、雑誌、新聞、放置されたスーツケースなど、今回も実に片付けがいがありそうではある。
「さて、とりあえず床が見えるようにしないとね……」
小春はリュックからエプロンと軍手、マスクなどの掃除道具や小物を取り出しながら、ふうっとため息をついた。
来週から一緒に住もうと言われて、半ば押されるような形でオーケーしてしまった小春だが、同居初日である月曜日を迎え、気合は十分である。
ただいま時間は、朝の八時だ。
この時間から閑は出勤らしいので、入れ違いにはなるが、閑がいたところで気を使うので、ひとりで掃除できるのはありがたい。
(神尾さん。私たちの間にあったことは、忘れてくれるってことになったし……となれば、私はこの家を綺麗にして、神尾さんに最低限の文化的な生活を送らせるために、頑張らないと……!)