誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
(でも……この後って、どうなるのかな?)
せいぜい一緒に暮らすといっても、春くらいが限度だろうと、なんとなく小春は考えている。
それまでには仕事を見つけるなりなんなりして、自分の生活基盤を整えておかなければならない。
幸い、住み込みで働いていた間の貯金はあるので、仕事さえみつければ、すぐに引っ越しすることは可能だ。
実家に帰るという選択肢もないことはないのだが、今の小春に、そのつもりはなかった。
少しの間でも、閑の住む東京にいたい。
(我ながら諦めが悪いかも……)
小春はふうっとため息をつきながら、閑の背中を見詰めた。
「あっ……」
思わず小さな声が漏れた。
カウンターに並んでいる閑が、彼の後ろに並んでいる女子二人組に、声をかけられていたのだ。
大学生くらいだろうか、女の子たちは、目を輝かせて閑を見あげて、自分の持っているスマホを指さしている。
(あれはもしかして……逆ナンされてる!?)
連絡先を聞かれていると気が付いて、小春の心臓が、ギュッと縮み上がった。