誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
(でっ、でも、私に断ってほしいとか思う権利はないし……っていうか、ふたりとも、すごくかわいい……)
真冬の寒さもなんのその、ふたりともミニスカートにロングブーツで、かわいらしいこと、この上ない。自分がフリーの男なら、間違いなく連絡先を渡すだろうと思うくらい、そのふたりはキラキラと輝いて見えた。
そもそも、閑が誰に連絡先を渡そうが彼の自由だ。自分は彼のプライベートに関与できる立場ではない。
(あんなの、見てられないよ……)
小春はうつむき、用もないのにスマホを取り出して画面を見おろしたのだが――。
「あ……」
メッセージアプリの通知が届いていた。
開いてみると、懐かしい相手からの連絡だ。
【最近どう? 元気してるかー?】
「お兄ちゃん……」
小春はひとりっ子だ。なので厳密には“お兄ちゃん”ではないのだが、この十年、小春は彼のことをお兄ちゃんと呼んでいた。小春にとっては、中本の娘であるキミちゃん同様、身内のような存在でもある。