誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「えっ」
「ほら、あーん」
上半身を少しだけ乗り出して、閑は目を細め、ふふふと笑っている。
(面白がっている……!)
呆気に取られている小春を見て、楽しんでいるらしい。
小春は「もうっ……」と膨れながら、閑をにらみつけたが、
「熱いうちに食べないと」
と、まったく引き下がってくれなさそうである。
閑は普段、ニコニコして優しいのに、少し強引なところがある。それが不愉快というわけは、もちろんないが、ちょっぴり意地悪だ。
「ほら」
「む……」
(恥ずかしいけど……えいっ!)
生まれてこの方、あーんなどしたことがないが、勢いをつけ、ポテトに、ぱくりとかぶりついていた。
「おっ、くいつきがいいなぁ」
閑はクスクスと笑いながら、また新しくポテトをつまんで、口元に運ぶ。まるで動物園で餌やり体験をする子供のように、目を輝かせている。そのまま、小春は閑にポテトを二本、三本、と食べさせられて、
「もう、無理ですっ」
笑いながら、身を逸らしていた。