明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
私、そんなにおかしなことを言っているのかしら?


「まあ、行基さんも楽しそうだし、いいじゃないですか。えーっと、ここからは私用です。これを」


彼が私の前に風呂敷に包まれたものを差し出してきた。


「なんでしょう?」
「行基さんからです。本と辞典を用意して届けてくれと」
「えっ! こんなに早く!」


軽く口にしただけなのに、こんなに早く用意してくれるなんて、胸がいっぱいだ。


「勉強家なんですね」
「いえ……。学がなくて恥ずかしいのですが、ずっと小説を読んでみたいと思っていました。でもその機会がなくて。私の願いを叶えてくださる行基さんには感謝しかありません」


風呂敷ごと抱きしめていると、一ノ瀬さんは優しく微笑みかけてくれる。


「あやさんが喜んでいたと伝えておきます。行基さんも喜ぶかと。それと、早速喧嘩をされたみたいですね。行基さんがあやさんは津田の家に来たばかりで不安だろうに怒ってしまったと気にしていましたよ」
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