明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
——私が自分の出生について知ったのは、尋常小学校の四年生のときのこと。
「お団子がひとつ余ったわね。孝義はもういらないといっているし……。どうする、あや?」
私のふたつ下の弟・孝義は、団子はあまり好物ではないのかいつも残す。
ひとつ残った団子をめぐり、姉妹(きょうだい)喧嘩が勃発した。
「この前は初子さんが食べたでしょう? 今日は私」
「そうだっけ? でも、かりんとうはひとつ多めにあげたでしょ?」
「私、かりんとうよりお団子のほうが好きなの。初子さんもそうでしょう?」
私と初子さんの喧嘩の声は、廊下まで響く。
すると女中頭のまつが飛んできた。
もうすぐ四十になる彼女は、私たちが生まれる前から一橋家に仕えてくれていて、私たちの世話も彼女が中心になってみてくれた。
「まあまあ、喧嘩なんておやめくださいませ。おふたりは、一橋家のご令嬢なんですから」
「お団子がひとつ余ったわね。孝義はもういらないといっているし……。どうする、あや?」
私のふたつ下の弟・孝義は、団子はあまり好物ではないのかいつも残す。
ひとつ残った団子をめぐり、姉妹(きょうだい)喧嘩が勃発した。
「この前は初子さんが食べたでしょう? 今日は私」
「そうだっけ? でも、かりんとうはひとつ多めにあげたでしょ?」
「私、かりんとうよりお団子のほうが好きなの。初子さんもそうでしょう?」
私と初子さんの喧嘩の声は、廊下まで響く。
すると女中頭のまつが飛んできた。
もうすぐ四十になる彼女は、私たちが生まれる前から一橋家に仕えてくれていて、私たちの世話も彼女が中心になってみてくれた。
「まあまあ、喧嘩なんておやめくださいませ。おふたりは、一橋家のご令嬢なんですから」