明治蜜恋ロマン～御曹司は初心な新妻を溺愛する～

本当は味なんてわからなかったもののそう返すと、彼は「こっちにおいで」と胡坐をかいていた自分の膝をポンと叩く。

まさか、また膝の上に来いと？


完全に固まり、まぶたをパチパチすること数回。

しびれを切らした彼は手を伸ばしてきて私の腕を捕まえ、強い力で引き寄せる。


「行基さん、右手は酷使しないでください。重い荷物を持ってはいけないとお医者さまが……」
「あやは荷物ではない。愛おしい女だ」


そんな返しをされたらお手上げだ。

結局、膝の上に乗る羽目になり、しかも、彼に食べさせられるというとんでもなく恥ずかしい行為つき。


「行基さんが食べられないですから」
「それなら、あやが食べさせてくれればいいだろ。ずっとそうしてくれていたじゃないか」

「それは手が不自由だったから……ん」


反論していると、かぼちゃの煮つけを口に入れられてしまう。


「いいから、おとなしく甘やかされなさい。俺がそうしたいんだから」