明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
章子さんに出会い不安になったが、それを解消してくれたのは紛れもなく行基さんだ。
彼が私に愛を注いでくれたので、信じることができた。

それなのに……章子さんとも関係があったの?

行基さんはそんな人じゃない。

そう何度も否定しても、章子さんのお腹には確実に子供がいるという事実に打ちのめされる。

もしも、彼女の発言だけだったら信じなかっただろう。
しかし、医者が『懐妊』だとはっきり告げたのだ。


元旦那さまの子なのでは?と思ったものの、『妾でもいい』と必死に訴えてきた彼女の姿を見ていると、やはり行基さんの子なのかもしれないと思えてしまう。


「行基さん……」


正妻の立場は守れたとしても、彼と他の女性との子が生まれるのを笑ってみていられるほど私は強くない。

それを一橋の母に強いてきたくせして、私にはできない。

身分が高く、財のある人ほど妾を囲うという話は聞いたことがある。
行基さんもあまりあるほどの財を持ち合わせているものの、どうしても信じられない。
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