明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「俺は角田幸一(すみたこういち)と言います。ここの二階に住んでるんだ。一橋さんも一応、住んでいるところを聞いておいてもいい?」


そう尋ねられ、困ってしまった。

家をなんとかしなければと思いつ、働き口がなければ家賃が賄えないと、今は宿に宿泊しているからだ。


「今は、わけあって宿に……。お金が尽きてしまうので、どうしようかと思っていて」


私は正直に話した。

持ってきた壱圓も、このままではすぐになくなる。

かといって、津田家を離れると決めたのに、たくさんのお金を持ち出すことなんて到底できなかった。


「そっ、か……。よかったらひと部屋開いてるけど、使う?」


角田さんの提案に目が輝く。


「いいんですか?」
「狭いけどね。家賃はそうだな……家事をお願いできれば、それでいい」


なんていい話なの?


「家事は得意です。でも……本当にそれでいいんですか?」
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