明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
行基さんは私を抱きしめなおし、声を震わせる。
彼が泣くところなんて初めて見た。


「行基さん。私に幸せを……ありがとうございます」


彼の不幸が止まり、私たちに最高の幸福が降ってきた瞬間だった。




——出会いはただの偶然だった。

しかも、政略結婚という始まりだったにも係わらず、想い人と心を通わせられることができたなんて夢のようだ。

だけど、最初から仕組まれていた運命だったような気もする。
そう思えるほど、彼との強い絆を感じるのだ。


初子さんの死という悲しい出来事はあったけれど、私は彼女と約束したように幸せを手にすることができた。


初子さん。
私はこれからも強く生きていきます。

彼とこの子と私と三人で、あなたの分も必死に生きます。
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