明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
次の週、入れ替わりを実行した。

周防さんに会える初子さんはもちろんのこと、彼女の代わりに憧れの女学生姿で外出できる私もまた、気持ちが高揚していた。

学ぶことをあきらめ女中として働くことを決意したものの、女学校で友達と楽しく過ごしている初子さんのことを、そして、着飾ることができる彼女のことを、ほんの少しうらやましいと思っていたからだ。


その日私は、初子さんの海老茶袴をはき、彼女と同じように“マガレイト”と言われる、三つ編みをしたあと輪にして大きなリボンを結ぶ髪形に整え、初子さんからもらったものの使う機会すらなかったあのつげの櫛を挿した。


「あや、とっても似合ってるわよ。あなたは目が大きいから、女学校でも美人のほうに入るわね」
「ありがとう、初子さん」


褒められてまんざらでもない。

一方初子さんは、私の裾が擦れた着物を着ているが、その恰好のみすぼらしさとは対照的に、頬が上気している。
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