明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
そもそもこの婚姻は、財は成しても爵位を持たず、『成金』とバカにされる津田家が、一橋家との縁をつなぐことでその社会的地位を高めるためのもの。
一方で爵位を維持できるだけの財産がなく返上の危機にある一橋家は、津田家の莫大な財産のおこぼれにあずかれるという目論見があった。
金は捨てるほどあるという噂の津田家は、初子さんのために派手な祝言の予定を立てているようだったが、肝心の彼女はその日が近づくにつれ、食べ物が喉を通らなくなりやせ細ってしまった。
女学校も早々に中退させられ、出かけることもままならなくなった。
なにより、婚姻が決まった身で周防さんに会うことすらできない。
もう意にそぐわない祝言の日を、心を殺して待つしかないのだ。
「初子さん、お団子ですよ。一緒に食べましょう?」
私は彼女を励ますため、団子を買ってきた。
「いらないわ」
「ダメよ。食べて」
一方で爵位を維持できるだけの財産がなく返上の危機にある一橋家は、津田家の莫大な財産のおこぼれにあずかれるという目論見があった。
金は捨てるほどあるという噂の津田家は、初子さんのために派手な祝言の予定を立てているようだったが、肝心の彼女はその日が近づくにつれ、食べ物が喉を通らなくなりやせ細ってしまった。
女学校も早々に中退させられ、出かけることもままならなくなった。
なにより、婚姻が決まった身で周防さんに会うことすらできない。
もう意にそぐわない祝言の日を、心を殺して待つしかないのだ。
「初子さん、お団子ですよ。一緒に食べましょう?」
私は彼女を励ますため、団子を買ってきた。
「いらないわ」
「ダメよ。食べて」