明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
その一方で、好きな人のもとに嫁ぐことかできないという不自由さを抱えている。

結局、どこに生まれれば正解だったのかなんて、誰にもわからない。

ひとしきり泣いた初子さんは、涙を手で拭い私を見つめる。


「あやは幸せになってね。お願い。私は……」
「そんな。初子さんも幸せになるの。私、初子さんの幸せを見たい」


初子さんは私の言葉に反応することなく、ただうつむくだけだった。



夕飯の時間になり初子さんを呼びにいったものの、廊下から声をかけても返事もなければ物音ひとつしない。


「初子さん? 開けますよ」


障子を開けると、初子さんはいなかった。


「どこに行ったの?」


首を傾げつつ部屋の奥へと進むと、机の上になにやら置いてある。それは、【あやへ】と書かれた手紙だった。
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