明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
【あやへ

あやと姉妹としていられて、私はとても幸せでした。

いっしょに食べたおだんごはおいしかったわね。もう一度食べたかったわ。

あなたが私の幸せを見たいと言ってくれたとき、気持ちがかたまりました。
私、あの人のところに行きます。

ゆるされないとわかっているの。
私が津田さまとのこんいんをきょひしたら、一橋の家がこれからどうなってしまうのか、そうぞうもつかない。

私のせいで、しゃくいを返上しなくてはならなくなるかもしれない。
そうすると、孝義はどうなるのか……と、さんざん考えました。

でも、どうしてもたえられない。
好きでもない人のところにとついで、一生公平さんのことをおもいながら生きていくなんて、じごくだわ。

自分のいしをつらぬき、津田さまにゆるしをこうほうほうがひとつしか思いうかばない。
それでもゆるしてはいただけないかもしれない。

だからあや。おねがい、孝義を守って。

私のありったけの着物もかんざしもあやにあげる。
売れば少しはお金になるでしょう? 

あや、あなたのおかげであの人に出会えました。ありがとう。

あやもどうか幸せに。         初子】
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