明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「なに、これ……」


高等小学校に行かなかった私のために難しい漢字を使わないでおいてくれたとわかる手紙を読み終え、呆然とする。


「津田さまに許しをこう方法って……。まさか」


体ががたがたと震えだし、頭が真っ白になる。


「嫌よ、初子さん!」


『私……死んでしまいたい』と口にしたときの初子さんの苦しげな表情が頭に浮かんでは消える。


「ダメよ。死んではダメ」


手紙を握りしめ、まつたちがいる炊事場に向かい、声を張り上げる。


「お願い、初子さんを探して。初子さんが……初子さんが……」
「あやさま?」


まつは当初、口をあんぐりと開け私を見つめていたが、泣きながら訴える私を見て、緊急事態だと気づいてくれたらしい。


「かしこまりました。皆、初子さまを探しに行くわよ」


そして私たちは家を飛び出した。
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