君はジェットコースター
電車の中で
朝、ぎりぎりまで
寝ているタイプの僕は
いつも髪はボサボサ
片手には、
ウーロン茶を持って駅に飛び込む。
「おめ、髪、直してから来いよな」
幼なじみのタモツは
今日もバッチリ
女子が騒ぐのも理解できる。
タモツは背が高くてイケメンだ
「タモツ、いい匂いがするね」
「やめろ、嗅ぐな」
「何この匂い、香水つけてるの?」
「やめろって!」
僕たちは、発車寸前の車両に飛び乗る。
ほぼ毎日同じかんじ、だった。
今朝までは・・・
「なんでいつもウーロン茶持ってんだよ」
「あ、水分補給」
「へえ、若さがねえな」
タモツと笑いあっていると、
電車のドアが開いた瞬間
すごい勢いで誰かに突き飛ばされた!
「えええええ????」
あまりの衝撃に、ドアから転げ落ち
ホームにへたり込んだ。
ピー
ドアが閉まる音が聞こえ
体勢を戻す間もなく
あっけなく僕を置いて電車が発車した。
学校まであと一駅
次の便だと遅刻確定だ。
「わ、わ、待ってくれ~」
手を伸ばすと
ずっと先のほうの車両の窓に
あっけに取られているタモツの顔が見えた。
「もう、ナンだよ・・・」
お尻を払いながら
立ち上がると
「むらまつ たくみ・・・くん」
僕のフルネームを呟きながらうつむいたまま
腕組みをした女の子が
目の前に立っている。
「は、はい。むらまつ です」
男として情けないけど
なんだか怖いタイプの女の子だ。
何か用か、と聞こうとして身構えた。
なんと、その子が一歩近づいてきたからだ。
そして
「ごめんなさい、突き落として」
「え?君が押したの!」
「二人で話がしたくて・・・」
いや、ハンパねえ。
この子かなりヤバイと見た。
話がしたくて、電車から突き落とすヤツが
この世界のどこにいる!
絶対関わらない方がいい。
瞬時にそう判断して
「いや、話すことないっす」
ホームを走り出す。
なんだよ、あと一駅走っていくしかない。