キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「だからね、陽亮君がなんでアズサを好きなのかって事」


イヤ、サクラさん……。
別に陽亮に好きだなんて言われてないんだけど。

『俺のもの』=『好き』という方程式が成り立たない事くらい、恋愛ド素人の私でもわかるよ。


でもサクラは夢見るオトメだからこの方程式が成り立っているらしく、少し夢の中に行ってしまった目付きで話続ける。


「だってアズサって真っ直ぐだもん」

「真っ直ぐ……?」

「うん。上手く説明出来ないんだけど、曲がった事が大嫌いで、自分に正直で、他の子には無い何かがある気がする。
そういう所に陽亮君は惹かれたんだよ」


惹かれたかどうかはこの際置いておいて、そんな風に自分の事を言われると素直に嬉しい。


「だからアズサも陽亮君の事を真面目に考えてみたら?」


この時ばかりはサクラは夢見る少女の顔付きではなく、サクラの方こそ真っ直ぐな綺麗な心を持つ乙女に見えた。


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