キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「よ、陽亮!?」


目の前に現れた人物が陽亮だった事に驚きを隠せず、声が上擦ってしまう。


陽亮は私に手を差し延べてくれて、私も素直にその手に自分の手を重ねているのに立たされてから気付く。

暖かい体温が陽亮から伝わってきて、ナンパ男に少しだけ恐さを感じていた私の心を包みこんでくれる。


陽亮は優しく微笑むと、私に向けた目とは違う目付きでナンパ男を睨んだ。


「で、この子たちに何か用だった?」


ナンパ男より遥かに体格のいい陽亮に睨まれ、顔を引き攣らせて食べ物を買いに来たはずの男の子たちはそそくさと尻尾を巻いて退散して行く姿にはちょっと笑えた。




「アズ、マジで大丈夫か?」

「うん、大丈夫だけど、なんで陽亮この場所わかったの?」


コホンッ と、カエデがわざとらしく咳ばらいをした。


「邪魔して悪いんだけど、とりあえずお昼ご飯買って荷物の所まで戻らない?」


邪魔って……

まだしっかりと握られた陽亮と私の手を見て、三人がニヤニヤしているのに気付いて慌てて離す。


順番待ちしていた売店も前の客がいなくて、ナンパ男と格闘していたうちにいつの間にか私たちの番まで回ってきていた。


焼きそばやうどんといった軽食を買っていると、陽亮は友達と一緒に来ていたみたいで陽亮から遅れて合流した。
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