キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「あっ、あの陽亮……さっきはありがとね」


この場の空気を変えたくてまだ言えてなかったお礼を言ったけど、どもってしまって私が照れている事を余計にアピールしてしまった。


「ホント、陽亮君が来てくれなかったらヤバかったよ。ありがと‼」


鋭くて鈍感なサクラは、私の照れに気付いているのか、そうではなくただ単に陽亮への感謝の気持ちで言ったのか。ナイスなタイミングで私のどもりをカバーしてくれる。


サクラの場合はたぶん後者だけど、このままズルズル陽亮のペースにはまり危うく陽亮を私が好きなんじゃないかって空気を変えてくれた。


ツバキとカエデも陽亮にここは真面目に言う場面だとわかっているらしく、ビニールシートの上できちんと正座に座り直し深々と頭を下げる。


「いやぁ、全然たいした事してねぇし。相手もたいした事なかったよな?」


さっきのナンパ男の逃げ腰はたしかに凄かった。
思い出して私たちは一斉に笑い出したけど、その場にいなかった和希君だけ状況を把握出来なくて、それでも私たちに合わせて笑っている姿が可笑しかった。
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