キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「そろそろ泳ぎに行かない?」
ビニールシートの上でイジイジと砂に人差し指でいつまでも渦を作る私に、カエデが覗き込みながら誘う。
陽亮に胸を触られたショックと闘うこと30分。未だ私の心は癒される事は……ない。
男の人に身体を触られた事が無いのに、しかもみんなの見ている前でなんてショック過ぎる‼
ツバキも仕方ないなぁと言わんばかりにふぅっと息を吐いた。
「じゃあ気が向いたらおいでね?」
その言葉を残し、カエデとツバキは太陽に晒された肌を冷やしに海へと入って行く。
サクラだけは私の隣にしゃがみ込み、砂で作られた見事な城を完成させつつあった。
「サクラも暑いでしょ?私はちょっと横になってるから行っておいでよ」
明らかに私を心配して、暑いのを我慢して一緒にいてくれているのを知っている。
その証拠にサクラの額からは海で濡れた髪は渇いているのに、ポツポツと水滴が浮かび上がっていた。
「でも……」
優しさは充分伝わってきたから満足だったので、遠慮がちに言うサクラを立ち上がらせ背中を押し海へ行くように促した。
「じゃあ行ってくるけど、アズサもホントに気が向いたら来てね」
私は頷いて心配してくれたサクラに笑顔を向け、これ以上心配させないように少し手を振り砂の上でお別れをした。