キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
足場の悪い砂場で何度も転びそうになりながらも私は走る事をやめず、サクラたちの待つ荷物の場所まで来た。


「早かったね」

「もう少し待って」


出迎えたサクラに私は一言だけ言い、自分の荷物を持ち今来た道を引き返す。


陽亮が訳のわからない顔で見ているけれど、私はお構いなしに荷物から取り出したスプレーの缶を上下に振り陽亮にかけた。


「冷てっ‼何してんの?」

「見てわからない?冷やしてるの」

「それはわかるけど……」

「じっとしててね。日焼けした時に役立つと思って冷却スプレー持って来たんだけど、持ってきて良かった‼火傷は少しでも早く冷やさなきゃ大変な事になるからさ」


シューシュー音をたてたスプレーの冷却液が霧状になって陽亮の体を冷やしていく。


少し赤み引いたかな?あっ、こんな場所まで焼けてるじゃん。

陽亮の髪から出た耳まで赤くなっていたので、そこにも振り掛ける。


「ウヒャッ、どこかけてんの!?耳はいいって‼」

「でも日焼けしてるみたいだから」

「違うって」


私からスプレーを取り上げながら言い、そこで初めて陽亮と目が合うと一目で照れているのがわかった。
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