キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
あの後教室へ戻ると、アカリは何もなかったかの様に自分の席に座っていた。


私と陽亮が話していても、刺さる殺気が減った気がするのは気のせいだろうか?

尻尾を巻いて逃げ出した事でプライドが傷付いたはずなのに。


少し気味が悪い気もしたけれど、陽亮との会話が弾んでしまいすっかり脳裏から離れてしまっていた。




「最近、アズの雰囲気変わったな」


陽亮に言われ『そうかな?』とごまかしてしまう自分が可愛く思える。
確かに陽亮を前みたいに冷たくあしらう事は無くなった。


『本物の恋』を知らない私にとって、自分の気持ちを確かめるのには相手を知るしかない。


陽亮も前から優しかったけれど、もっと優しくなった気がする。何より浮いた噂を聞かなくなったのが私を素直にさせているのかも。

他の女の子と仲良くしているのに、私に好きだとか言われても信じられないから。


アカリが少し頭を動かし視線を送ったけれど、今の私には全く気にならない。


ニッコリ笑顔で視線に応えるくらいの余裕を見せ、私とアカリのアイコンタクトが不自然だったのか陽亮は不思議な顔をしていたけど、こちらにはもっと極上の笑顔を向けてみた。


陽亮ははにかむ顔をして、そんな私と陽亮のやり取りを見てアカリは前に向き直る。


アカリを負かした気分になり、今まで突き刺さった殺気のお返しを出来た気がして、今日は何だか最高の日だな。


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