キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「なんでってアズと一緒に学校行きたかったから?」


私に視線を合わさず鼻を掻き照れ臭い顔で言う。疑問形に聞こえるのは陽亮が照れている証拠。


私の言葉を待たず、自転車を漕ぎ出す。
きっと何て答えればいいのかわからない私の気持ちを読み取ったからだと思う。

私も後に続き自転車を走り出させる。


風になびく陽亮の髪が、教室の中で見るより太陽で照らされて明るく見えた。
オレンジ色のフワリとした髪が最初は嫌いだったのに、今はとても綺麗で太陽を吸い込んだ肌と合っている。


眩しくて陽亮の背中を見ている事が胸を締め付ける気がして、追い付いて横に並んでみた。


陽亮は私の顔を見て、太陽と同じくらい眩しい笑顔を見せたから横に並んだのは失敗だったかな?

だってもっと苦しくなってしまったから。



「九月も終わるってのにあちーな」


片手をハンドルから離してパタパタとシャツをはためかせる。


「うん、そだね」


教室と違い、二人きりになるのは海以来初めてだから緊張して上手く話せない。
会話らしい会話も出来なかったのに、それでも陽亮は学校に着くまで目が少し笑っていて楽しそう。


学校までの距離がこんなに長く感じ、暑さを感じないほど緊張したのは初めてかも。
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