キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
何より、トイレに行くと言い残して行ったんだから帰ったって事はないはず。カエデとツバキも時々私の方に視線を向け、授業にも集中出来ずにいる。


「先生‼あの……」


居ても立ってもいられず立ち上がる。


「どうした?」


どうしたと聞かれると、何を言うべきか見つからず言葉に詰まってしまう。


「え~っと……」

「トイレなら早く行ってこいよー」


モジモジと教室を抜け出す理由を考えていた私に、徳山先生は何かを察した様に言う。


催してないけど行き先はトイレだし、小学生みたいな理由が恥ずかしかったけれど一先ずはそういう事にしておき、教室から飛び出して1番近いトイレに走った。


トイレの中はシンと静まり誰かがいる気配は無い。無いけれど、ドアが一つだけ閉まっていて中に誰かが入っているのは間違いない。


「サクラ……?」


もしかしたら授業中にお腹が痛くなりトイレに篭る生徒がいないとは限らない。

控えめにサクラの名を呼び返事を待つ。


ガタッ と、個室の中で動く気配がして先程より強めな声でもう一度呼んでみた。


「サクラ、いるの?」


少し間を置き鍵が開く音がした。
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