キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
まさか!!?
誰も止める間も無くアカリとマイカも固まり、避けることも出来ずバケツの中に入っていた水が頭から身体へと降り注ぐ。


窓から射し込む光でキラキラと反射し、溢れた水は一滴残らず二人に吸い込まれていった。


「キャー‼汚いっ‼」


巻かれた髪も濡れて勢いを無くし、描かれた孤が少し伸びていた。

アカリの叫びと裏腹に教室にいる全員言葉を失い、私も二人の行動に驚き声を失っていた。


その時ピューっと指を鳴らす音が正面から聞こえてきて、陽亮が口に指をくわえていたのが目に入った。


「超スゲー‼カッコイー」


こんな状況なのに、陽亮は目を輝かせ子供みたいにはしゃいでいた。

陽亮の声で教室中、声援で溢れかえる。


「おいっ‼静かにしないか」


さすがにいつもは穏和な徳山先生も怒鳴るが、私たちを褒めたたえる声は鳴り止まない。


「後片付けは後でします」


ツバキがクルリと方向を変えて教室から出て行った。


「説教も後から受けます」


カエデも続いて私の後ろを通り過ぎツバキに続く。


この状況を私一人で何とかするのは無理で、ビシャビシャになった身体を手で水を払いのけるアカリの前に立っているのも限界で、二人がどこに向かっているのかは想像出来たから何も言わずに二人を追い掛けた。
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