キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
教室を出て、トイレに着くまでも声が追い掛けて来た。

クラスを取り巻く興奮は冷めないけれど、ツバキとカエデの想像もしなかった行動と、アカリに全てぶちまけた爽快感でスッキリした空気に包まれている。



トイレの前に着くと、中からカエデの声が聞こえて来た。


「サクラの敵(かたき)は取ったから‼」

「敵……?」


鼻声のサクラの疑問に答えるよう私も中に入り会話に割り込んだ。


「ツバキとカエデがアカリ達に水を浴びせたんだよ」

「えっ!?それホント?」


ツバキとカエデは誇らしげな顔で私を見つめ、それからサクラを見た。


「グスッ‥‥‥」


鼻を啜りながらもサクラは目を丸くし私たちの顔を見渡して行く。


「やり過ぎじゃない?」


そう言うサクラの顔は言葉とは裏腹に、困ってるけど笑いを抑え切れない表情が宿っていた。


ツバキとカエデのやった事は間違っていないとは言い切れないけれど、敵討ちとしては正解かも。


この後、説教を受けようが、アカリたちから更に嫌がらせを受けようが構わなかった。

また四人で立ち向かえばいいだけの事。


水で濡れたサクラを囲むよう抱き合い、汚れさえもわかち合い、痛みだって吹き飛ばせる関係である友達がいるんだと改めて感じた。


アカリは許せないけど、結果的に深められた私たちの友情を思えば少しだけ感謝してもいいかもね。
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