キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
初めての喧嘩
アカリとマイカは翌日からは嘘のように大人しくなった。
クラス中が私たちに味方し、自分たちのした事を非難されたから。
逆に私たちは英雄扱い。
女子からも男子からも次の日は褒めたたえられ、ちょっとしたヒーロー気分を味わった。
女の子なのに。
陽亮は飽きもせず毎日迎えに来て一緒に登校するのが日常になって行った頃には、持て囃す声も冷やかす言葉もなくなりそれが当たり前になってきた。
「さすがに寒くなってきたな」
舞い散る落ち葉を眺め風を切り、並びながら自転車を走らせる。
「だね。セーターでも寒いもん」
手をすっぽりセーターに隠しハンドルを握る手が痛い。
陽亮の髪も少し伸び耳を覆っているけれど、風になびき見えた耳が少し赤い。
見慣れた通学路も冬の訪れと共に姿を変え、木々が纏った葉を落としていってた。
「冬休み予定ある?」
自転車置き場に着き、並べられた自転車の隙間に自分の自転車をとめながら突然陽亮が切り出した。
「特にないけど」
私も見付けた隙間にとめ答える。
そういえば、もうそんな季節か。
夏休みが終わったばかりだと思ったらもう冬休みがすぐそこまで来ていた。
遊ぶ計画立てるの忘れてたな。サクラたちと話さなきゃ。陽亮のおかげで思い出せたから早速決めなきゃ。
「じゃあさ、どっか行かない?」
「へ?」
「だから俺とどっか行かない?」
みんなと遊ぶ事ばかり考えていたため、まさか陽亮に誘われると思ってなかったからマヌケな声が出てしまった。
こここ……これってデートの誘い!?
ボトリ鞄を落とし立ち止まると、陽亮が近付きながら鞄を拾い上げ渡してくれた。
受け取る瞬間陽亮の手が触れ、その手が温かいのに気付く。