キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「ちょ、サクラ痛いって」


出会ってからこれほど強引なサクラは初めて。私の腕を掴み、教室からどんどん離れた場所まで連れて来られた。

私より背が低いサクラに腕を斜め下に引っ張られると冗談抜きで腕が抜けそう。


ときめいていた心を教室に置き去りにしたようで、今はサクラから伝わるピリピリした空気が伝わってきて私を支配する。

あと数メートル進んだら確実に脱臼くらいはしていたかも。


ピタリと止んだサクラの足にホッとする。
掴まれていた腕を摩りながらサクラを見ると、追われた犯罪者のように辺りをキョロキョロ見渡している。

サクラの場合は小動物くらいにしか見えないのが残念ですが。


「緊急事態ってどうしたの?」


一通り、辺りに誰もいないか確認し終わったのを見計らって切り出してみた。


サクラがこっちに近付いてと合図したから、膝を曲げ耳の位置をサクラの口に合わせた。

空気イスは辛いから手短にお願いします。
とは言えない空気が余計に変な場所に力を入れさせ、この体制を辛くさせている。


「あのね……ゴニョゴニョ……」

「エーー‼ツバキとカエデが喧嘩!?」
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