キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「アズサ、声大きいッ‼」


サクラの小さな手で口を抑えられエコーする声だけが響いている。


「ゴ、ゴヘン」


抑えられた手の隙間から空気だけが抜け、苦しそうにしていると手を離してくれた。


「ツバキとカエデが喧嘩って……どうしたの?」


もう口を抑えられたくなくて必要以上に小声で話す。

聞き取りづらそうにサクラは顔をしかめたけれど、何とか聞こえたみたいで事の発端を話し出した。



「アズサはノリに醤油付ける?付けない?」


ノリ??ああ……海苔か。

ってそれがどうした!?
今はツバキとカエデの喧嘩の話じゃ?

突っ込みたい気持ちを抑え、とりあえず答えてみた。


「気分によって付けたり付けなかったりだけど……それが?」

「それがねツバキは付ける派で、カエデは付けない派なんだって」

「で?」

「で?って??」

「だからそれがツバキとカエデの喧嘩に何の関係が……ってまさか!?」


コクンと頷くサクラ。

もしかしてそんなくだらない理由で喧嘩したの?
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