キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「アズ?なんで?」


周りに誰もいないと思っているのか漏れる声ははっきりと聞こえてくる。張り付く自分の姿は怪しいと気付き体を少し離した。

耳だけは釘付けになったまま。


「だってさー、鷹居って悪くはないけど美人でもないじゃん?江城とかなら陽亮が夢中になるのはわかるけどさ」


悪かったわね‼
《悪くないけど良く》もなくて‼‼

サクラと比べたら誰だって良く見えないんだよっ‼


サクラが可愛いを通り越しているのは私も認めるし、そんな子と友達であるのを自慢にさえ思ってる。


それにサクラの可愛さは表面上ではなく内面から滲み出ているものだから、比べられて劣っていると言われても逆に嬉しく思うくらい。


でも……、陽亮にそんな風に言わなくたっていいじゃない。陽亮からそれを言われたくないから。


もし、陽亮の口からそれを聞いたら誰に言われても傷付かない心が割れるくらい痛む気がしてここから逃げ出したくなる。


教科書なんてどうでもいいから戻ろうか悩んだけれど、もしかしたら陽亮が私の方がいいと言ってくれるのをどこかで期待してる自分がいた。
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