キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
やっぱり後でもう一度来ようかな?


「まあねー。でもアズって面白いじゃん?」


あぁ、もっと早く行けば良かった。
1番聞きたくない一言聞いちゃったな……。


「おまえ相変わらず悪い奴だなー。それで鷹居をからかってるんだ」


そうだよね。陽亮が私に本気になるはずないよね。
名前すらまともに覚えてないけど、あなたの言う通りだよ、友達君。

からかって面白がって、男に馴れてないから騙せると思ってたんだ。


ガラッ――
凍り付く陽亮と友達をよそ目に、机から教科書を取り出し鞄に詰め込む。


「アッ、アズ。今の聞い」
「何?」


もう何も聞きたくなくて言いかけた陽亮の言葉を遮った。熱い目頭は悔しいのか悲しいのか理由さえ考えたくない。

陽亮を見ずに教室から出る私を呼び止めた。


「待って‼誤解だって‼今のは違うくて」


掴まれた腕はひやりと冷たくて、私の体の方が熱を帯びているのを知らせる。


「離してッッ!」


零れ落ちそうな涙をギリギリ眼の中に留まらせて、陽亮の手を無理矢理振りほどき走った。
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